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木質バイオマスから日量2万バレルのSAFへ、GeorgiaSAF計画が示す大型化の条件と課題

木質バイオマスから日量2万バレルのSAFへ、GeorgiaSAF計画が示す大型化の条件と課題

ニュースの概要

米国のCarbonCoreが、ジョージア州南西部のベインブリッジとディケーター郡を、商業規模のSAF(持続可能な航空燃料)施設「GeorgiaSAF」の開発候補地として正式に位置づけた。計画では、持続可能な木質バイオマスを高温で処理して合成ガスをつくり、フィッシャー・トロプシュ法(=ガスから液体燃料を合成する方法)と精製工程を経て航空燃料に仕上げる。生産ラインは2本で、フル稼働時の目標は日量約2万バレルとされる。ただし、この数字は開発上の目標であり、建設や稼働が確定したことを意味しない。

引用元: 米CarbonCore、ジョージア州で木質バイオマス由来SAF大型施設の開発を前進(Biofuels News)

分析・見解

日量2万バレルは、SAF工場としてどれほど大きいか

日量2万バレルは、年間にすると約730万バレル、およそ11億リットルにあたる。国際航空運送協会(IATA)の推計では、2024年の世界のSAF生産量は約100万トンで、日量に直すと2万バレル強になる。つまり、この1施設が全面稼働すれば、概算で2024年の世界全体の生産量に並ぶ。

違いは苦労する場所にある。油脂を原料にする方式は原料の確保が難しく、木質を使う方式は設備が複雑で建設費が重い。

ガス化から合成まで続く長い工程が持つ技術上の重さ

木質バイオマスを高温で分解して合成ガス(=一酸化炭素と水素の混合ガス)にし、触媒で炭化水素へ変える。工程が長く、途中で出るタール(=粘り気のある副生成物)や不純物が触媒を傷めやすい。小さな実証設備で動いても、商業規模で止めずに回し続けるのは別の難題だ。

2本の生産ラインに分ける設計は、片方が止まっても全体が止まりにくくする保険にも読める。

年間数百万トンの木材を、どこからいくらで集めるか

一般的な収率を仮定すると、この規模では年間に数百万トン級の木質原料が要る。ジョージア州は林業が盛んで、製材の端材や間伐材を集めやすい土地柄だ。一方で、製紙工場や木質ペレット(=燃料用の固形木材)の輸出業者と原料を奪い合う可能性がある。原料が値上がりすれば、燃料の採算に直結する。

さらに、森林を傷めずに調達した証明がなければ、「持続可能」という看板も、補助や認証の前提も崩れる。

候補地の選定は、まだ入り口にすぎない

今回の発表は、建設の確定ではなく、開発候補地の位置づけだ。ここから、許認可、資金調達、燃料の長期買取契約、技術面の保証と、越えるべき段階が続く。買い手が決まらないまま巨額の建設費を借りるのは難しい。

木質由来の燃料では、計画の発表後に資金が集まらず止まった事業も過去にある。航空会社との購入契約が公表されるかどうかが、計画の本気度を測る最も分かりやすい目印になる。

ビジネスへの影響

航空会社は、買取契約の条件を先に詰めたい

新設の大型工場は魅力的な調達先だが、稼働が遅れる危険を抱える。契約では、引き渡しの開始が遅れた場合の取り決め、価格の決め方(原料価格に連動させるか固定か)、温室効果ガスの削減量をどう証明するかを明記したい。供給元を複数に分けるのも現実的な備えだ。

日本の航空会社が輸入SAFを検討する際は、米国で通用する認証が日本や欧州の基準でも認められるかを、事前に確認する必要がある。

林業・木材の事業者に開く、新しい販路の可能性

製材の端材や間伐材は、これまで安い価格で扱われがちだった。大型の需要が生まれれば、価格が上がり、集めて運ぶ仕組みも整う。ただし、長期契約を結ぶなら、価格の見直し条項を入れておきたい。日本でも国内の未利用材を燃料に生かす構想はあり、米国の事例は、集荷費用が採算を左右することを教えてくれる。

投資家と自治体が確認したい三つの数字

見るべきは、買い手と契約済みの量の割合、最終的な投資判断の時期、原料を集める範囲の広さである。この三つが公表されない間は、日量2万バレルという数字を前提に動かず、段階ごとに判断を更新する姿勢が堅実だ。

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